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猫のSAAの診断的意義と弱点
2022年2月8日(火)
炎症マーカについて
炎症マーカーは炎症発生時に鋭敏に反応し、そして速やかに上昇し、炎症が収まるとともに速やかに低下していくので、病気の発見、そして治療効果の判定において優れたツールです。
この炎症マーカーはヒトの医療検査では「C反応性蛋白」という名前で知られており、肺炎時の「肺炎球菌と交差性を示す蛋白」として発見されたため、C反応性蛋白CRPと命名されました。
猫の炎症性マーカーはSAAが有名ですが、猫のSAAは実は人も肝臓で作られています。
感染や外的要因が生じると抗原提示細胞からサイトカインが産生され、肝臓内でSAA・CRPの産生が生じます。
アミロイドは放出されすぎると全身に沈着を起こしてアミロイドーシスという疾患を生じさせる。この前駆物質がSAAである。
「このSAAは万能な炎症マーカーなのか?」
このSAAは全ての炎症で上昇する炎症マーカーではありません。
炎症の程度や重大な生体疾患が存在するとSAAは上昇しますが、上昇しない場合があるので注意が必要です。
SAAを測定する診断的意義。
①リンパ腫・急性膵炎・FIP
特に猫の消化器型リンパ腫で顕著な上昇が起きるのでリンパ腫を疑うための重要な検査です。
*慢性腎不全屋甲状腺機能亢進症では非炎症疾患であるにもかかわらず上昇している場合もあるので、注意が必要
②治療効果の判定
SAAが上昇している場合、治療に反応してくると低下してくる。治療効果の判定に有用です。
③予後因子
SAA上昇が止まらない場合は生存期間が短いと言われています。
*注意
「SAA検査の弱点」
SAAは非常に診断ツールとしては優れているが、上昇しない場合もあります!!
一概にSAAが高くないからと言って、炎症の有無を判断すべきではなく、補助診断ツールとして有用に活用するのが重要!!