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バイタルサイン
2022年2月18日(金)
バイタルサイン
皆さん、バイタルサインって医療ドラマとか
でよく聞くと思いますが、これって何か知っていますか?
ちなみに「バルタンセイジン」ではありません。
今日はその「バイタルサイン」について記事を書いていきたいと思います。
Q「バイタルサインって何ですか」
体温・心拍数・呼吸数・血圧のことで、生体リズムをつかさどる4つのサインのことです。
Q犬猫の平熱はどれぐらい?
犬猫:38〜39℃
40℃以上は高熱です。
猫は特に37.2度以下になると予後不良因子に当てはまり、危険な状態です。
Q犬猫の心拍数はどれぐらい?
子犬 100回/分
成犬 80〜110回/分
猫 140〜180回/分
Q犬猫の呼吸回数はどれぐらい?
日中の興奮時は呼吸数は増加してしまうので、安静時に測定するのが好ましいです。
安静時呼吸数
犬 30回/分(睡眠時20〜25回)
猫 20〜40回/分(睡眠時15〜25回)
Q「呼吸数で犬猫の重要なポイントは何ですか?」
心不全などの循環器不全に陥っている場合は、
呼吸数が40回以上(睡眠時30〜40回/分)
Q「犬と猫の血圧はどれぐらいですか?」
犬 収縮期 110〜160mgHg
拡張期 60〜90mgHg
平均 80〜110mgHg
猫 収縮期 110〜160mgHg
拡張期 60〜90mgHg
平均 70〜110mgHg
*人と同じオシロメトリック法という血圧測定を行っております。
Q「先生!腹水って何ですか?」
2022年2月14日(月)
Q「先生!腹水って何ですか?」
腹水とは、内臓をしまっている「お腹の膜」と「内臓」の間に水が溜まっている病態を指します。触診でも診断可能ですが、量が少ないとエコー検査をする必要があります。
Q「腹水にはどんな種類がありますか?」
答えは「原因によって腹水の性状が異なる」っていうのが正しいです。
つまり、病気によって腹水の成分が異なるということになります。
腹水の成分で病気の診断が可能なので、獣医師は腹水を診断したら必ず検査します。
Q「腹水の成分と種類を教えてください」
①『漏出液』
血液中のタンパク成分が低くなると血液中から水分が漏れてしまいます。
血液検査でアルブミン値を測定し1.5以下なら低アルブミン症を疑います。
(血液成分の異常)
②『変性漏出液』
血液の流れが悪くなりうっ血によって血管の圧が上昇して、血管外にタンパクが漏れることによって生じます。
(静脈圧の異常)
③『浸出液』
炎症によって炎症性サイトカインによる血管透過性亢進によってタンパク質・炎症細胞が漏れでる。
(生体の大きな炎症)
腹水の検査でその性状から大きく3つに分類し、追加の血液検査、超音波検査を行い診断を行なっていきます。
腹水は病気の診断の重要な手がかりです。
飼い主さんでは発見が難しいため、体調が優れない場合は動物病院に行きましょう。
私事ですが、最近、お腹が出てきてしまって。。。腹水かなって思ったら、「脂肪」でした。
腎臓病で貧血になるって知ってますか?
2022年2月9日(水)
「腎臓病で貧血になります』と言われても多くの方は「そうなの?」って思いますよね?
今日は血液の造血と腎臓の関わりについて記事を書きたいと思います。
腎臓は尿を生産している機能だけではなく、実は血液の造血を生じさせるエリスロポエチンというホルモンの産生部位でもあります。
なので、腎不全が進行すると腎臓からエリスロポエチンが分泌されず、血液がうまく作れなくなり、貧血(腎性貧血は正球性正色素性貧血)になります。これを腎性貧血と呼んでいます。
猫の慢性腎不全(CKD)の30〜60%でこの腎性貧血状態に陥っており、ヒト医療・獣医領では慢性腎不全時のPCV25%以下の貧血ではエリスロポエチンの投与を行います。
獣医領で使用されるエリスロポエチン
ヒト遺伝子組み換えエリスロポエチンが獣医領では使用されています。(というか、これしかないのです)
エポエチン 100IU /kg 週3回投与
ダルボポエチン 1ug/kg 週1回
ただし・・・・
「貧血を見つけててもすぐにエリスロポエチンの投与しない。」ことも重要です。
まず、本当に腎臓病悪化による腎性貧血なのか?を診断する必要があります。
なぜかというと、腎性貧血以外の原因で貧血になっている場合は、
すでにエリスロポエチンが分泌されています。
よって、貧血の原因が、本当に腎性障害によるエリスロポエチン分泌障害による貧血がどうかを確認することが需要です。
やたらめったらにエリスロポエチンを使用しても腎性貧血でなければ全く効果がありません。。
除外診断
出血・甲状腺機能低下症・免疫介在性溶血性貧血・鉄欠乏性貧血・骨髄疾患
「エリスロポエチン製剤の反応率」
イヌ:85%
ネコ:60%
とされており、鉄剤の投与も同時に行っていきます。
造血反応として、エリスロポエチンによって造血反応が生じても鉄欠乏があるとうまく造血できないためです。
鉄は必要!!
また、ヒト遺伝子組み換え型なので、使用頻度が増すと抗体が産生されて、効きにくい状態になります。
エポエチン500IU /kg /1週間もしくはダルボポエチン1.5ug/ Kg使用しても効果が認められない場合は
それ以上の効果が望めません。
「心腎貧血症候群」も重要です。
心不全による血流不全によって腎障害が進行し腎性貧血を生じる病態
心臓が悪くなると、なぜ腎臓も悪くなるのか・
2022年1月28日(金)
心臓が悪くなると、なぜ腎臓も悪くなるのか?
心不全によって引き起こされる腎臓病を「心腎関連症」と呼びます。
今回はこの病気のメカニズム:負の連鎖について書きたいと思います。
心臓病になると心臓がうまく血液を循環させることができなくなります。
血液の還流が滞ることによって、ダメージが起きやすい臓器が腎臓です。
心臓が悪化すると拍出量(血流量)が減少し腎臓への血液量の減少が生じます。
血液中の酸素や栄養分を腎臓に届けることができなくなり、腎臓は栄養不足・酸欠状態になって腎臓の細胞が死んでいきます。腎臓の機能がある一定まで低下すると体中の窒素産物を尿として排出する機能が失われていき、それによって体は尿毒症を起こしてきます。
しかし、尿毒症を回避するために腎臓の動脈が過度に収縮してしまう機構(RASSの活性化)が働き、水分だけが尿として排出され、結果的に血中の尿毒素(BUN)が増加してしまいます。さらに心臓病の薬である利尿剤を投与すると、腎臓に負担をかけて尿を産生させ、さらに体を脱水に導きます。結果的に、心臓の薬によって、腎不全に拍車がかかり心不全に腎不全が併発してしまう病態につながります。
獣医師として 心臓病を治療したい!でも腎臓病が悪化するリスクをがあるので慎重に治療のプランニングを行っていきます。
心臓病の治療は、腎臓機能のモニターが必須なんです。
実際に
病院では心腎関連症なのかを判断するために
以下の検査を実地してします
採血による以下の項目のチェック
1BUN
2CRE
3IP
4SDMA
必要であれば尿検査の実地を行います