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猫の脾腫は危険サイン

2022年2月22日(火)

猫は犬と違い、脾臓に血液を溜め込むことはできない動物です。

エコーでの猫の脾臓のお大きさは

脾体部1㎝前後

脾頭部1㎝以下

レントゲンでは脾腫っかどうかの判別はできません。

猫の脾腫は悪性腫瘍(特に肥満細胞腫)に多く見られるので注意が必要です。

特集2 心臓バイオマーカー

2022年2月18日(金)

NTpro-BNP(心室負荷を評価するホルモン)について

B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は正常な心臓では分泌されておらず、心不全時に心室の筋肉で産生・分泌されるホルモンです。

つまり、心室に問題が生じると分泌されるホルモンなので、心臓の検査としてとても有用です。

心臓は、自律機能(恒常性)を有しており、心室に負荷がかかると、このホルモンが分泌され、血管拡張作用や利尿作用が生じ、結果、心臓の負担が軽減されます。

BNPは心室筋の伸展刺激で分泌されるホルモンであり、ANPより多くの心臓病が診断可能です。心室筋に負荷がかかることで心筋細胞内で産生されたNTpro-BNP(非活性型)とBNP(活性型)に切断されて血中に分泌されます。

犬猫におけるの血中半減期は不明ですが人のNTpro-BNPは血中半減期が約20分と言われております

血中に分泌されたBNPは、ANPと同様に血管拡張作用とナトリウム利尿作用を生じさせます。

Q「なぜBNPではなくNTpro-BNPを測定するのですか?」

NTpro-BNPはBNPより血中では安定しており、また、BNPより血中半減期が長いためNTpro-BNPを測定します。

Q「NTpro-BNPの検査数値の見極めについて教えてください」

①僧帽弁閉鎖不全症の場合

<900

左心不全の可能性が低い

900〜2500

中程度の左心不全

>2500

重度の左心不全

②その他の弁膜疾患と心筋疾患

 重度の右心不全・肺高血圧症・三尖弁逆流症・肺動脈逆流症

 犬猫の心筋症

③高血圧・甲状腺機能亢進症・腎機能低下では容量負荷によって心室筋に負荷がかかりNTpro-BNPが高値を示す。

④猫の心筋症

 猫は正常猫においてNTpro-BNPが100を超えることはない。

 なので>100以上の数値では心室に負荷が生じている状態と考えられる。

Q「NTpro-BNP検査で診断可能の心臓病は?」

 僧帽弁閉鎖不全

 犬・猫の心筋症

 心筋炎

 呼吸器疾患の除外

 心筋梗塞

 重度の右心不全・肺高血圧症・三尖弁逆流症・肺動脈逆流症 

Q「右心不全もこの検査で診断できますか?」

 右心不全の初期では、この数値は上昇しないので、初期の右心不全ではエコー検査が必要です。右心不全が重度になると心室全体に負担が生じるので、NTpro-BNPで検査が可能です。

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<特集>心臓バイオマーカー

2022年2月16日(水)

Q「心臓病は犬猫で多いのですか?」

心臓病は、犬猫において一般的な病気です。

犬では8歳以上で75%が心臓に疾患を有しており、

猫では、生まれつき心筋症という病気を持っている猫も多くいます。

一般的に症状がないと病院に来ることはなくて、診察を受けて、

すでに進行して発見されるケースがとても多いのが実情です。

 

Q「心臓病は血液検査で診断できますか?」

現在、獣医療では心臓の血液心臓の検査において心臓の状態を測定することができる心臓バイオマーカーが開発され、臨床現場で広く使用されています。

 

Q「心臓バイオマーカーとはどういう物質ですか?」

心臓は体の臓器で一番重要な組織であり、重要な機能を司っているため、心臓の障害が生じると生体に知らせる信号というのが多数存在します。これを心臓バイオマーカーと呼んでいます。

 

Q「心臓バイオマーカはどんな種類がありますか?」

心臓バイオマーカーは心房筋・心室筋それを構成している心筋細胞から産生分泌され血液検査で測定できる物質です。獣医医療において検査が可能な心臓バイオマーカーは3種類あります

①A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)

②N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドを(NT-proBNP)

③心筋トロポニン(cTnl)

これらの心臓バイオマーカーにはそれぞれ特徴があるため。現場の獣医さんが心臓の病状に鑑みて測定します。

腎臓病で貧血になるって知ってますか?

2022年2月9日(水)

「腎臓病で貧血になります』と言われても多くの方は「そうなの?」って思いますよね?

今日は血液の造血と腎臓の関わりについて記事を書きたいと思います。

腎臓は尿を生産している機能だけではなく、実は血液の造血を生じさせるエリスロポエチンというホルモンの産生部位でもあります。

なので、腎不全が進行すると腎臓からエリスロポエチンが分泌されず、血液がうまく作れなくなり、貧血(腎性貧血は正球性正色素性貧血)になります。これを腎性貧血と呼んでいます。

猫の慢性腎不全(CKD)の30〜60%でこの腎性貧血状態に陥っており、ヒト医療・獣医領では慢性腎不全時のPCV25%以下の貧血ではエリスロポエチンの投与を行います。

獣医領で使用されるエリスロポエチン

 ヒト遺伝子組み換えエリスロポエチンが獣医領では使用されています。(というか、これしかないのです)

 

   エポエチン 100IU /kg 週3回投与

   ダルボポエチン 1ug/kg 週1回

 

ただし・・・・

「貧血を見つけててもすぐにエリスロポエチンの投与しない。」ことも重要です。

 まず、本当に腎臓病悪化による腎性貧血なのか?を診断する必要があります。

なぜかというと、腎性貧血以外の原因で貧血になっている場合は、

すでにエリスロポエチンが分泌されています。

よって、貧血の原因が、本当に腎性障害によるエリスロポエチン分泌障害による貧血がどうかを確認することが需要です。

やたらめったらにエリスロポエチンを使用しても腎性貧血でなければ全く効果がありません。。

除外診断

 出血・甲状腺機能低下症・免疫介在性溶血性貧血・鉄欠乏性貧血・骨髄疾患

 

「エリスロポエチン製剤の反応率」

   イヌ:85%

   ネコ:60%

とされており、鉄剤の投与も同時に行っていきます。

造血反応として、エリスロポエチンによって造血反応が生じても鉄欠乏があるとうまく造血できないためです。

鉄は必要!!

また、ヒト遺伝子組み換え型なので、使用頻度が増すと抗体が産生されて、効きにくい状態になります。

エポエチン500IU /kg /1週間もしくはダルボポエチン1.5ug/  Kg使用しても効果が認められない場合は

それ以上の効果が望めません。

「心腎貧血症候群」も重要です。

 心不全による血流不全によって腎障害が進行し腎性貧血を生じる病態

もしかして、利尿薬が効いてない?

2022年2月2日(水)

「利尿薬抵抗性って言葉知ってますか?」

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僧帽弁閉鎖不全症が慢性経過をたどると、利尿薬がなかなかきかなくなる治療抵抗性を示してきます。

特に利尿薬を投与し始める僧帽弁閉鎖不全症ステージCという段階では、心腎関連症と言って腎臓にも負担がかかってきます。

利尿薬は僧帽弁閉鎖不全症などの心臓弁膜症の患者さんにとても効果がある薬です。しかし時に腎不全を起こしたり、利尿薬の効果がなくなったりするケースがあります。

今日はこの「利尿薬抵抗性」について紹介したいと思います

「利尿薬抵抗性について」

利尿薬というのは、腎機能を刺激・更新させて利尿作用を誘発させる薬です。しかし、慢性的に利尿薬を投与していくと効きづらくなってくる場合があります。これを利尿薬抵抗性と呼びます。

『利尿薬抵抗性の原因』

1腸管からの吸収の低下

→心不全が進行すると血液循環が悪化し、腸管が浮腫んで、浮腫になってしまう。その結果、飲んだ利尿薬が腸から吸収できず利尿薬の効果が発揮できない

2痛み止めなどの非ステロイド性抗炎症薬の投与や脱水症状

→利尿薬は血液中のアルブミンというタンパクと結合して腎臓に運ばれるが、それを阻害する薬や脱水などの全身状態の悪化があると利尿薬が効きづらい

3腎臓の構造的障害

→慢性的に利尿剤を投与し続けると、腎臓の構造的変化が生じた結果、Nαの再吸収が亢進が生じ、尿を産生しづらくなる。

4心不全による腎機能の低下

→心不全が進行するとRASS系(体液量を調節するホルモンの恒常性)と交感神経が活性化して、腎臓が尿を減少させる。(近位尿細管の再吸収)

5心不全の更なる悪化

→心不全によって血液の拍出量が低下し末期的な腎機能障害が生じてしまい、利尿薬が効かなくなる。

利尿薬体制になったときに考える対処法

1投薬経路の変更

腸管からの吸収が減弱している場合は静脈投与に切り替える

2他の種類の利尿薬への使用

スピロノラクトンなどの使用

考察・・・

心不全によって腎臓機能に障害が出た場合、ラシックスやトラセミドなどのループ利尿薬の使用を迷ったら・・・

「カルペリチドの併用を考慮に入れる」ってのも良いのかもしれません。

 

心不全の犬に対してどの利尿薬が効果的か?

2022年1月28日(金)

心不全の犬に対してどの利尿薬が効果的か?

心臓病に対して効果的な利尿薬。

利尿薬といっても「短時間的作用を持つラシックス」と「長時間的効果を有するトラセミド」があります。どちらの利尿薬もループ利尿薬と呼ばれ、腎臓に対して少し負担がかかりますが、心不全治療薬の大きな武器になっています。

今日は心不全状態に陥ったイヌのフロセミドとトラセミドの利尿薬の効果の比較試験の論文について紹介します。

ラシックスVSトラセミド..jpeg

「僧帽弁閉鎖不全症の心不全の犬におけるトラセミドミ投与効果TEST STUDY」

ループ利尿薬であるラシックス(フロセミド)は短時間で絶大な利尿作用を有しております。効果時間が短いために、昨今これに代わる長時間型ループ利尿薬であるトラセミドが犬の心不全に効果的であるのではないか、という大規模な実証検証が行われました。366頭の僧帽弁閉鎖不全の心不全のイヌを対象にして短時間型ループ利尿薬フロセミド1日2回と長時間型ループ利尿薬トラセミド1日1回投薬して3ヶ月(90日)の比較モニタリングを行いました。

結果

「フロセミド(1日2回投与)よりトラセミド(1日1回投与)の方が効果があり、心臓死のリスクを大幅に減少させる」ことがわかりました。

しかしながら、トラセミドの長期投与は腎臓に大きな負荷がかかるなど副作用の発現も多く見られ、定期的な腎臓のチェックが必要なことも明らかになりました。

Chetboul, V., et al. “Short‐Term Efficacy and Safety of Torasemide and Furosemide in 366 Dogs with Degenerative Mitral Valve Disease: The TEST Study.” Journal of Veterinary Internal Medicine (2017).

心室間相互依存とは

2022年1月28日(金)

心室間相互依存とは

心室間相互依存性依存とは左右の心室のどちらかの障害により片方の心室に影響与える状態。最終的には左右の心室の機能が低下して心不全心拍質量の低下が引き起こされます

これってどういうことかって言うと、、心臓っていう臓器は心外膜という膜に囲まれておりいます。つまり心臓は膜と言う名前の箱に入れられているのでが拡大してしまうと物理的に左心系が圧迫されて、右心室と左心室の機能のバランスが破綻してしまいます。結果的に右心系がさらに拡大し最終的に左心系の機能が著しく低下し心拍出量の低下につながります。

僧帽弁閉鎖不全症・肺高血圧症など心室の問題が起こると心室が拡大を引き起こし、それによって反対側の心室も影響を受けることを心室間相互依存と呼んでます。

最終的には「両方の心臓に悪化につながる」可能性があるとこを視野に治療をしていきますよう。

心臓が悪くなると、なぜ腎臓も悪くなるのか・

2022年1月28日(金)

心臓が悪くなると、なぜ腎臓も悪くなるのか?

心不全によって引き起こされる腎臓病を「心腎関連症」と呼びます。

今回はこの病気のメカニズム:負の連鎖について書きたいと思います。

心臓病になると心臓がうまく血液を循環させることができなくなります。

血液の還流が滞ることによって、ダメージが起きやすい臓器が腎臓です。

心臓が悪化すると拍出量(血流量)が減少し腎臓への血液量の減少が生じます。

血液中の酸素や栄養分を腎臓に届けることができなくなり、腎臓は栄養不足・酸欠状態になって腎臓の細胞が死んでいきます。腎臓の機能がある一定まで低下すると体中の窒素産物を尿として排出する機能が失われていき、それによって体は尿毒症を起こしてきます。

しかし、尿毒症を回避するために腎臓の動脈が過度に収縮してしまう機構(RASSの活性化)が働き、水分だけが尿として排出され、結果的に血中の尿毒素(BUN)が増加してしまいます。さらに心臓病の薬である利尿剤を投与すると、腎臓に負担をかけて尿を産生させ、さらに体を脱水に導きます。結果的に、心臓の薬によって、腎不全に拍車がかかり心不全に腎不全が併発してしまう病態につながります。

スクリーンショット 2022-01-27 23.51.12.png

獣医師として 心臓病を治療したい!でも腎臓病が悪化するリスクをがあるので慎重に治療のプランニングを行っていきます。

心臓病の治療は、腎臓機能のモニターが必須なんです。

実際に

病院では心腎関連症なのかを判断するために

以下の検査を実地してします

採血による以下の項目のチェック

1BUN

2CRE

3IP

4SDMA

必要であれば尿検査の実地を行います

僧帽弁閉鎖不全症に合併した肺血圧症の治療

2022年1月27日(木)

僧帽弁閉鎖不全症に合併した肺血圧症の治療

僧帽弁閉鎖不全性は小型犬で多くは8歳以上が歳上の犬で75%の割合を占めております。つまり10歳以上になっていると何らかの心臓の弁膜症を起こしていると考えても間違いではありません。

その中で1番有名なのは僧帽弁閉鎖不全症(MRと呼ばれております)です。この僧帽弁閉鎖不全症は重症度によって5段階に分類されています。

ステージA

ステージB1

ステージB2

ステージC

ステージD

ステージDになってくると不可逆的な左心系障害(左心房左心室の重度の障害)によって右心系にも大きなトラブルを起こしてきます。

つまり僧帽弁閉鎖不全性の末期は肺高血圧症につながる場合があります。この時どんなお薬を使うのか大変獣医さんは迷います。

当院ではACVIMコンセンサスガイドラインに従い処方

 ピモベンダン 1日3回

 ACE阻害剤

 利尿剤

 アムロジピン

 などを中心に投薬していきます。

 それでも失神・腹水などコントロールできない場合はシルデナフィルを追加で投薬していきます。

シルデナフィルの用量に関して

急性期では1〜2mg1日3回から開始して必要に応じて調整していきます。

しかし比較的低用量である0.5mg/kg 1日2日より投与することが当院では一般的です効果が不十分な場合は1日3回とする場合もあります

しかしながら僧帽弁閉鎖不全性に併発した肺高血圧症の治療を行うべきかの確立した基準は未だに存在しておりません。シルデナフィルを使用する場合は必ず僧帽弁閉鎖不全性の治療薬(ピモベンダンや利尿剤)をを十分に投薬し、心筋収縮力を維持した状態にだけ使用しています。

なぜならシルディナフイルは強力な血管拡張薬なので肺動脈を拡張させ左心室流入血液量が増加することで心不全が一気に進行し肺水腫になると考えられる。

よって僧帽弁閉鎖不全性を伴う場合は高血圧症の治療は必ず心筋の収縮力を増加させるピモベンダンと利尿剤を併用しつつ、状態に応じシルデナフィルを適宜追加をしていきます。