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オミクロン株(B.1.1.529)の命名法

2022年2月7日(月)

最近、オミクロン株の話題ばかりで、嫌になりますが、一応知っておいた方がいい基礎知識、、、と言いながら少し難しいです。

今日は「オミクロン株(B.1.1.529)の命名法」について

このコロナウイルスって誰が命名していると思いますか?

WHOの偉い人?って思ってました。もちろんそれも間違いではないです。

ただ、科学的に分類するために以下の方法で分類がされ、命名されています。

 

新型コロナウイルスはSARSコロナウイルスに類似した塩基配列を有し、極めて変異しやすいウイルスとして感染拡大が生じており、遺伝学的に分類し、命名するのには数が多すぎてしまう。よって、データーベースを構築し、シークエンサーで塩基配列を読み込んで、そのデーターベースにアップロードすることで、分類・命名さするという事になりました。

*B.〇.〇.〇等の分類はPango命名法と呼ばれ、WEB上の新型コロナの発生源であるセンザンコウの遺伝子を元にアルゴリズムに基づいて系統を割り当てるソフトウェアで分類が行われております。

つまりは、コロナウイルスの遺伝子塩基配列をソフトウエアにアップロードするとビックデーターを元に人工知能によって分類されるという事かな

Pango命名法

 Phylogenetic Assignment of Named Global Outbreak LINeagesの頭文字で、訳すると「世界的な大流行と命名された系統樹の割り当てを行い命名する方法」 

*オミクロンなどのギリシャ数字の命名はあくまでもWHOがラベリングした標記である

アルファ株ベータ株ガンマ株デルタ株オミクロン株

スクリーンショット 2022-02-06 21.33.10.png

「RER &DERの虎の巻」

2022年2月7日(月)

犬と猫のエネルギー要求量について

飼い主さんから「どれぐらいフードを与えた方がいいですか?」という質問を受けますが、正直、厳密に答えることができないのが実情です。

なぜなら、与えているフードの種類によって100g当たりのカロリー量が異なるので一概には答えられないのです。

例えば、減量用のフードを与えているのなら、そのフードは脂質が制限されているかもしれませんし、成長期なら、高カロリーのフードになります。

そこで、指標となるエネルギー量の算出をまず行います。

もちろん、栄養管理のポイントは脂質・タンパク質・糖質・ミネラル・ビタミンをバランスよく摂取することが重要です。

「安静時エネルギー量:RER」と「要求エネルギー量:DER」

安静時エネルギーRERとは、生体が維持するための必要不可欠な最低限のエネルギーの事で、ライフステージや活動状態に合わせたエネルギーを「要求エネルギー量:DER」と呼びます。

要求エネルギー量は、RERに必要係数を✖️ことで算出します。

「DER = 必要係数 ✖️ RER」

犬の必要係数

   生後4か月まで 3×RER
   生後4か月~成犬 2×RER
   去勢・避妊犬 1.6×RER
   未去勢・未避妊犬 1.8×RER
   肥満傾向の犬 1.3×RER
   減量中の犬 1.0×RER

猫の必要係数

   成長期の猫 2.5×RER

   去勢・避妊猫 1.3×RER

   未去勢・未避妊犬猫 1.5×RER

   肥満傾向の猫 0.8×RER

   高齢猫  1.3×RER 

これはあくまでも指標です。

この計算式で一般的な答えが算出されますが、実際には個体差があるためあくまで概算として用いてください。このDERを指標にしてフードの量を調節していくのが基本です。

あと重要なのが、これは1日あたりの総カロリーですからね!!一回あたりではありませんよ。

注意してください。

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コロナウイルスが変異しやすい理由

2022年2月7日(月)

コロナウイルスは

•ニドウイルス目

•コロナウイルス科

•コロナウイルス亜科

•トロウイルス亜科

•コロナウイルス属

のウイルスで、RNA 1本鎖ウイルスです。

ここで重要なのが、コロナウイルスは、RNAウイルスの中で、もっとも塩基配列が長く30000塩基も有します。

これってどういう意味かというと、「とっても変異しやすい」という事なんです。

「変異しやすいこれだけの理由」

①そもそも何で変異しやすいかというと、

30000もの塩基配列を有するRNAの一部はスパイク蛋白という蛋白をコードしているのですが、この塩基配列がすぐに変異してしまうんです。

変異すると、感染しやすくなり、人間の体内に容易に入り込みやすくなります。

最近になり、ちょと気になるニュースも飛び込んできました。。

すでにHIVウイルスに感染している患者さんがこのコロナウイルスに感染すると、変異が急激に生じ、20以上もの変異コロナウイルスが生じるとの研究が南アフリカで報告されているとブルームバーグ紙がWEB版で報じてます

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-31/R6JZ9OT0AFB401

②スパイクタンパク質が大きく変異すると動物に感染が可能になる。すると動物の胎内でダイナミックな変異が生じ、種を超える凶悪なウイルスになる可能性がある。

 

ただ、強毒化しすぎてしまうと、ウイルス自身が感染させた感染者をあっという間に殺してしまうので、ウイルス自体にはメリットがありません。

なぜなら、ウイルスはそもそも遺伝子の運び屋としての機能しかなく、自己増殖ができないので、宿主(感染者)を殺してしまうとウイルス自体の生存に関わってきます。

なので、今回のコロナウイルスも徐々に弱毒化が進み、共存ウイルスとしてウイルス進化してくか、または、ヒト自身の免疫が進化するかのどちらかになるはずです。

オミクロン株の命名法

2022年2月7日(月)

最近、オミクロン株の話題ばかりで、嫌になりますが、一応知っておいた方がいい基礎知識、、、と言いながら少し難しいです。

今日は「オミクロン株(B.1.1.529)の命名法」について

このコロナウイルスって誰が命名していると思いますか?

WHOの偉い人?って思ってました。もちろんそれも間違いではないです。

ただ、科学的に分類するために以下の方法で分類がされ、命名されています。

 

新型コロナウイルスはSARSコロナウイルスに類似した塩基配列を有し、極めて変異しやすいウイルスとして感染拡大が生じており、遺伝学的に分類し、命名するのには数が多すぎてしまう。よって、データーベースを構築し、シークエンサーで塩基配列を読み込んで、そのデーターベースにアップロードすることで、分類・命名さするという事になりました。

*B.〇.〇.〇等の分類はPango命名法と呼ばれ、WEB上の新型コロナの発生源であるセンザンコウの遺伝子を元にアルゴリズムに基づいて系統を割り当てるソフトウェアで分類が行われております。

つまりは、コロナウイルスの遺伝子塩基配列をソフトウエアにアップロードするとビックデーターを元に人工知能によって分類されるという事かな

Pango命名法

 Phylogenetic Assignment of Named Global Outbreak LINeagesの頭文字で、訳すると「世界的な大流行と命名された系統樹の割り当てを行い命名する方法」

*オミクロンなどのギリシャ数字の命名はあくまでもWHOがラベリングした標記である

アルファ株ベータ株ガンマ株デルタ株オミクロン株

スクリーンショット 2022-02-06 21.33.10.png

ステルスオミクロン株 BA2

2022年2月6日(日)

ステルスオミクロンと聞くと発見しづらいと勘違いしている方もいますので、今回はこの記事を書きます。

 

現在日本のオミクロン株の状況2022年1月末日現在の報告

https://outbreak.info/situation-reports/omicron?loc=ZAF&loc=GBR&loc=USA&loc=JPN&selected=JPN&overlay=false

BA1がとても優位に高くなっているのが実情です。

BA2は俗に「ステルスオミクロン株」と言われています。

しかしこの名称には少々、語弊があると思います。

海外の多くのPCR検査では、コロナウイルスのある一部の部分を検出して検査しています。今回、その部位が変異を起こしてしまい検出が困難になってしまいました。

よって、BA2は発見が難しく「ステルス」の異名がつきました。

しかし、遺伝子解析が迅速に進み、現在は海外でもPCR検査で検出可能になっています。

ちなみに、日本のPCR検査ではステルスオミクロンは検出可能です。

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もしかして、利尿薬が効いてない?

2022年2月2日(水)

「利尿薬抵抗性って言葉知ってますか?」

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僧帽弁閉鎖不全症が慢性経過をたどると、利尿薬がなかなかきかなくなる治療抵抗性を示してきます。

特に利尿薬を投与し始める僧帽弁閉鎖不全症ステージCという段階では、心腎関連症と言って腎臓にも負担がかかってきます。

利尿薬は僧帽弁閉鎖不全症などの心臓弁膜症の患者さんにとても効果がある薬です。しかし時に腎不全を起こしたり、利尿薬の効果がなくなったりするケースがあります。

今日はこの「利尿薬抵抗性」について紹介したいと思います

「利尿薬抵抗性について」

利尿薬というのは、腎機能を刺激・更新させて利尿作用を誘発させる薬です。しかし、慢性的に利尿薬を投与していくと効きづらくなってくる場合があります。これを利尿薬抵抗性と呼びます。

『利尿薬抵抗性の原因』

1腸管からの吸収の低下

→心不全が進行すると血液循環が悪化し、腸管が浮腫んで、浮腫になってしまう。その結果、飲んだ利尿薬が腸から吸収できず利尿薬の効果が発揮できない

2痛み止めなどの非ステロイド性抗炎症薬の投与や脱水症状

→利尿薬は血液中のアルブミンというタンパクと結合して腎臓に運ばれるが、それを阻害する薬や脱水などの全身状態の悪化があると利尿薬が効きづらい

3腎臓の構造的障害

→慢性的に利尿剤を投与し続けると、腎臓の構造的変化が生じた結果、Nαの再吸収が亢進が生じ、尿を産生しづらくなる。

4心不全による腎機能の低下

→心不全が進行するとRASS系(体液量を調節するホルモンの恒常性)と交感神経が活性化して、腎臓が尿を減少させる。(近位尿細管の再吸収)

5心不全の更なる悪化

→心不全によって血液の拍出量が低下し末期的な腎機能障害が生じてしまい、利尿薬が効かなくなる。

利尿薬体制になったときに考える対処法

1投薬経路の変更

腸管からの吸収が減弱している場合は静脈投与に切り替える

2他の種類の利尿薬への使用

スピロノラクトンなどの使用

考察・・・

心不全によって腎臓機能に障害が出た場合、ラシックスやトラセミドなどのループ利尿薬の使用を迷ったら・・・

「カルペリチドの併用を考慮に入れる」ってのも良いのかもしれません。

 

濃厚接触者の定義って?????(2021年1月31日現在の情報に基づきます。)

2022年1月31日(月)

昨日、スタッフから、「濃厚接触者ってどういう人が当てはまるんですか?」

と聞かれて、そういえば、どういう指針になってるのかな?って思って調べてみました。

一応厚生省のホームページと埼玉県のホームページを見て調べました。

(随時更新の可能性がありますので注意してください。この記事は2021年1月31日現在の情報に基づきます)

Q1. 「濃厚接触者」の定義は何ですか。
A1. 新型コロナウイルス感染症のPCR検査等で陽性となった者(患者)と、感染の可能性 のある期間(症状が出る 2 日前から入院等になるまでの期間)に接触し、

以下の範囲に該 当する場合は濃厚接触者と定義します

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濃厚接触という定義 

*1:患者と同居や長時間の接触(車内・航空機内等を含む)した人

*2:マスクの着用なしに患者を診察、看護もしくは介護をした人

*3:患者の体液などの汚染物に直接触れた可能性のある人

*4:手で触れることのできる距離(1 メートル)で、マスクなどをせず患者と 15 分以上の接触のあった者 

 

そして

*5:濃厚接触者と接触したとしても濃厚接触者と判定されるわけではありません。

 

ただ、、、マスク着用の有無、接触時間の長さ、距離の近さ、空間の密閉度や患者の症状などから状況に応じて総合的に保健所が判断します。

つまり

「濃厚接触者の認定は、原則として保健所が判断します。」と書かれておりますので、

不安なら保健所に連絡するということみたいですね。

最近は自主隔離、自主診断、自主申告になってますが、この定義が曖昧になりそうですね?

※令和4年1月28日一部改正の厚生労働省事務連絡に基づき、一部内容を更新しています。

埼玉県の保健所

https://www.pref.saitama.lg.jp/a0710/covid-19/noukousessyokusya.html

猫ちゃんの第二の体温計:「SAAについて」

2022年1月31日(月)

猫ちゃんの第二の体温計:「SAAについて」

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炎症といっても患者さんが痛い辛いと言わない限り炎症が起きているのかどうか、獣医師が判断することはとても難しいです。人では体温計を使いますよね。もちろん犬や猫ちゃんでも体温を測定しますが、滅多なことじゃないと体温は上昇しませんし、体が弱っているのに体温は正常なことだってたくさんあります。

なので、猫ちゃんの体調を判断するのには体温計だけではわかりません。動物医療にとって獣医師が炎症に築けるかどうかはとても重要なポイントなので、今日は炎症マーカーについて記事を書きたいと思います。

人間では炎症の判断について、血液検査で炎症性マーカーというのが古くから使われてきました。人間の炎症性マーカーはCRP(別名C反応性蛋白)と呼ばれます。これは血液検査で簡単に測定が可能であり、この数値が高いと生体メカニズムに大きな影響与える炎症が存在すると診断ができます。

以前までは人間用のCRPを応用して獣医領で検査として使用できるかなど、模索した時代もありましたが結果的にうまくいきませんでした。

その結果を受けて犬用のCRP 検査の開発が行われました。

現在、犬のCRPは人間と同様に血液検査機械で院内検査が可能です。

CRPの値が高いければ「生体メカニズムに大きな影響与える炎症が存在する』と考えて治療に対応することができます。

「では猫はどうやって炎症の有無を判断するの?」

猫は痛みがあっても飼い主に伝えることがあまりなく大変繊細で痛みのストレスで手遅れになってしまう場合がとても多い動物です。

猫では犬のCRPと同様、炎症反応性蛋白を測定する研究が行われてきました。そして猫の炎症を示唆する炎症マーカーであるSAAを発見し測定することが可能になりました。

これにより猫ちゃんの炎症の有無を詳しく簡単に調べることが可能になり、多くの猫ちゃん達の診察に有用なツールになりました。

新型コロナウイルスの生存時間

2022年1月29日(土)

新型コロナウイルスの大気中での感染可能時間が解明されました。

報道によると、皮膚やプラスチック上で存在できる時間がコロナ株によって異なり、オミクロン株は今までのコロナ株より、より長期間、空気中に存在可能でであることがわかり、爆発的な感染の解明につながりました。

現在流行しているオミクロン株はプラスチック上では190時間。皮膚表面では21時間の感染可能時間があるとの研究報告です。これは他の株よりも感染力を維持していることを示す有力な論文報告で現在の感染拡大の大きな要因とされます。またアルコールを含む消毒薬を15秒足らずでオミクロン株の活動生を低下させることができるとのことなので、消毒は効果ありです。

心を惑わせられず、冷静な対処が必要です。

京都府立医科大学より転記

 

心不全の犬に対してどの利尿薬が効果的か?

2022年1月28日(金)

心不全の犬に対してどの利尿薬が効果的か?

心臓病に対して効果的な利尿薬。

利尿薬といっても「短時間的作用を持つラシックス」と「長時間的効果を有するトラセミド」があります。どちらの利尿薬もループ利尿薬と呼ばれ、腎臓に対して少し負担がかかりますが、心不全治療薬の大きな武器になっています。

今日は心不全状態に陥ったイヌのフロセミドとトラセミドの利尿薬の効果の比較試験の論文について紹介します。

ラシックスVSトラセミド..jpeg

「僧帽弁閉鎖不全症の心不全の犬におけるトラセミドミ投与効果TEST STUDY」

ループ利尿薬であるラシックス(フロセミド)は短時間で絶大な利尿作用を有しております。効果時間が短いために、昨今これに代わる長時間型ループ利尿薬であるトラセミドが犬の心不全に効果的であるのではないか、という大規模な実証検証が行われました。366頭の僧帽弁閉鎖不全の心不全のイヌを対象にして短時間型ループ利尿薬フロセミド1日2回と長時間型ループ利尿薬トラセミド1日1回投薬して3ヶ月(90日)の比較モニタリングを行いました。

結果

「フロセミド(1日2回投与)よりトラセミド(1日1回投与)の方が効果があり、心臓死のリスクを大幅に減少させる」ことがわかりました。

しかしながら、トラセミドの長期投与は腎臓に大きな負荷がかかるなど副作用の発現も多く見られ、定期的な腎臓のチェックが必要なことも明らかになりました。

Chetboul, V., et al. “Short‐Term Efficacy and Safety of Torasemide and Furosemide in 366 Dogs with Degenerative Mitral Valve Disease: The TEST Study.” Journal of Veterinary Internal Medicine (2017).

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